震災復興から耐震補強へ

阪神・淡路大震災の復興・調査を担当させていただき、建物の耐震性能・耐震補強の重要性を、より以上に、
感じ、考えるようになりました。
その後、住宅・学校・病院・工場、等の耐震補強を担当させていただきますが、明治時代に運用を開始した、
水力発電所の耐震補強工事で、構造品質保証研究所のSRF工法と出会うことになります。耐震診断・設計に基づき、壁をめくって柱を増やす。筋交いを増やしたりを行いますが、基礎と土台・柱との緊結にSRF工法が採用され、自らも施工を行ってみましたが、とても有効で効果的な工法だと感じました。
木造SRF工法とは?|《SRF工法》構造品質保証研究所<SQA>

阪神・淡路大震災の調査で判明した倒壊原因の一つに、基礎の上に載る土台の、木材の痩せにより、固定するナットが緩み、基礎と緊結されていない木造住宅が多くございました。容易に手でも回ってしまいます。これは、床下に入れば確認できますので点検をお勧めいたします。そして重要なのが基礎に亀裂が入っていないか。その部分に水が浸入し、基礎構造の一体となるべき鉄筋も腐ってしまいます。この亀裂の補強はSRF工法で行えますし、RC造の建築物でも耐震補強・性能実績が多くございます。また、他の工法よりも安価で効果的かつ合理的に耐震補強が行えます。


大阪市中央区難波の夕景
品質管理・検査が重要な今

設計・管理・施工と、一貫して行うのは日本だけです。たとえばアメリカでは設計と管理も別に行われます。
公共工事では昔から、設計管理と施工は別に行われましたが、最近は管理も別の設計事務所が行い、より公平性と品質性能が向上するようになりました。また、木造住宅については、未だ、設計・管理・施工を1社で行うケースが多く、品質については懸念されている状況です。そして、建設業界の深刻な現状の一つに人手不足があり、それに伴う、管理者・職人さんの経験不足による品質低下が現実とし、問題視されております。
今、一級建築士、等の専門家が建築主様からのご依頼により行う、第三者検査が益々増えてきています。

こども本の森 中之島『青いりんご』安藤忠雄
新たな定期報告制度の施行

ホテル・グループホーム・診療所火災など、多数の死者が出る火災事故が続いています。これらの事故において被害が拡大した原因の一つとし、建築物が適法な状態で管理されていなかったことが掲げられ、こうした事態を踏まえ、今般、建築基準法が改正され、平成28年6月1日から、新たな制度が施行されることとなりました。定期報告対象の建築物等は、ホテル・病院・福祉施設・共同住宅、等で、対象となる用途の建築物はこれ以外にも増え、建築設備・昇降機に、防火設備が新たな対象に加わりました。
たとえば共同住宅は3年毎に、一級建築士、等の専門知識を有する資格者に、定期的に調査・検査をさせ、その結果を特定行政庁に報告(定期報告)する義務があります。
なお、報告を怠ると法違反となり、罰則規定の対象となります。

また、外壁タイルの浮き(剥落すれば通行者に危害)等、要是正がある場合は、報告を受けた特定行政庁は、所有者等が、もし速やかに是正する意志がない等の場合には、必要に応じて是正状況の報告聴取や是正命令を行うこととなっております。

京橋より、大阪ピジネスパーク・大阪城
ストック&リノベーション

SDGs「持続可能な開発目標」の観点・取組みからも、建築の世界でも、スクラップ&ビルド(解体して建替え)からストック&リノベーション(耐震補強含む)へと舵が切られています。

国土交通省では、「令和12年までに耐震性が不十分な住宅、令和7年までに耐震性が不十分な耐震診断義務付け対象建築物をおおむね解消する」ことを目標として掲げていますが、定期報告制度による、既存不適格建築物(心療内科クリニックの放火火災では二方向非難が取れていない)も多く、この是正も進んでいません。民間マンション(特に賃貸)、住宅では、入居者事情・費用面、等により、なかなか進みませんし、進むような予想はされていません。
また、木造住宅等においては、基礎から上部の建物をいくら補強しても、地盤が軟弱な場合は、地盤・基礎の補強が一番重要となります。
そして、昨今の台風等による屋根が吹き飛ばされる等の被害に関しても、行政では基準・指針が設けられました。

薬師寺 白鳳伽藍
薬師寺 白鳳伽藍

■ 建設業界・インフラ整備、等 ■

 4月1日より、労働基準法第36条に定められた通称36協定の
新上限ルールが建設業にも適用されました。

 新たなルールは、月45時間以内、年360時間以内。特別な理由があり年6回までの特別条項を
適用する場合は、月100時間未満、2か月から6か月の平均80時間以内、年720時間以内です。
(法定休日労働含む) 残業を抑制し、プライベートと仕事の両立ができる職場環境を目指しています。
 また、ここ数年の働き方改革により、かっての3Kから脱却の方向に大きく舵が取られています。
公共工事では週休2日の導入、企業年金の整備、退職金制度の整備、また、民間も含め、
作業所に女性用トイレ・更衣室義務化(施錠含む)、夏は空調服支給、スポーツ飲料等常備、等、
女性監督・作業員さんも増えてきて、他業界より働きやすい環境になってきています。

 先日、バスツアーにて久々に大宮通りを通りました。
「JWマリオット・ホテル奈良」の隣に『ノボテル奈良』が秋に開業なんですね。
フランス・パリ発のホテルグループ「アコー」が手掛ける新ホテルだそうです。
その隣では、南都銀行が本館移転による新築工事中で7階建・免震構造とのことです。

現在の本館は、ホテルや商業施設など地域活性化につながる利活用を検討しているとのこと。
 JR奈良駅周辺では海外の方が多く見られ、奈良へお越しの方は長期滞在して楽しまれるそうです。
法華寺でお聞きしましたが仏像の修復は新しくできた天理「なら歴史芸術文化村」で行うとのこと。
観光立国として奈良県もまだまだ整備され、4件目の世界文化遺産登録を目指しております。
海外・特にヨーロッパの方はスピリチュアルを求めて奈良に来られるそうです。

神秘的・歴史的な自然のな美しさ・おもてなしの奈良へお越しくださいませ。

 京奈和自動車道は工事着手率が約60%、西名阪自動車道と接続する
郡山下ツ道JCTの工事も行われています。
橿原高田IC~橿原北ICは柱脚が完成し、道路を載せる工程に入っています。
「(仮称)イオンモール橿原 3期増床計画」の完成に間に合いそうですし、
ロードサイド店舗も増えて、中和幹線(大神神社・長谷寺・明日香村・吉野へ)・御所方面の店舗も整備されています。
近隣の情報としましては、昨年の台風に伴う葛城川増水の対策もあり、

堤防補強工事が行われております。
葛城川に面する飛鳥葛城自転車道・京奈和自転車道(石舞台古墳~平城宮跡)では

サイクリングを楽しまれる方々も増えて参りました。

∞ 建設業の2024年問題 ∞

 どう変われるか?変わるのか?
時間外労働時間の上限は月45時間、年360時間が原則となり、違反した場合は、罰則の対象となります。
建設業の就業者数は、1997年にピークを迎え、その後、一時横ばい期間もありますが、今も減少が続いています。
一方で、他の産業と比べても就業者の高齢化率が高く、若手労働者の入職・定着が増えないかぎり、現状でも困難な施工体制も維持できなくなることは想像に難くありません。
建設業が抱える深刻な人不足問題の背景は3Kです。その1番は"キツイ"に象徴される、労働時間・拘束の長さがあります。
また、職人さんの深刻な不足による段取りや調整、工程遅れの対策や施主への対応等、精神的なプレッシャーも加算されます。
以上のような現状ですが、職人さんの日当や技術者の給与はほとんど変わっていません。
背景として、プレハブ化等により、将来無くなると言われる職種の会社は、
職人さんを減らしていますので、生産力不足の過渡期でもあります。

地震・防災の観点からタワーマンションが増える。核家族等の影響もあり、駅近の賃貸マンションが増える。
ホテルはまだ足りないらしく、是非はありますが万博も開催の予定。
耐震補強を含むストック&リノベーションが増えていく。
やっと苦労が報われるという声も聞こえてきますが、いかがなものでしょうか。

近畿圏でも、ぜんぜん足りていない1業種では、30,000円/日以下ではしません。
という状況になっています。汗を流し、造る人が報われる業界でありますように。

目立ち始めた20代マイホーム購入

 
 その合理的な考えと、契約時の「恍惚と不安」
賃貸住宅に住まうか、マイホームを購入しますか。
その時々のライフスタイル、社会環境・老後等を考えると難しい選択となります。
建築物は完成したその時点から老朽化が始まり、メンテナンスが必要となります。
一戸建ての場合、木造は10年以上経過すれば、資産価値評価は0に近くなります。
一戸建て、マンションに限らず、RC造は耐用年数の観点から評価は高くなります。
(国の税制における建物の耐用年数の取扱いにおいては、木造住宅22年、RC造47年)
将来的には一戸建ては減り、マンション・賃貸住宅が増えると予想されています。

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